ムーミン原作本のなかで「大人視点の問題」を指摘しているシーンが沢山出てきますが、その一部をご紹介します。
私達も子供の頃に抱いた、「大人が言ってることの矛盾や屁理屈」をムーミン原作本では非常にうまく表現されていますね。
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このページの目次
ミムラねえさんの性格とクールなリトルミィ
「この子たち、そんなの、おもしろくないってよ」
ちびのミイが説明しました。
「あたいのねえさんみたいに、『おとなしくしないと、ぶっころすよっ!』っていうべきよ。それからあとで、お菓子をやって『ごめんごめん』って、あやまればいいの」
「それでうまくいくかなあ?」
「いきっこないわね」
ちびのミイがいいました。
ミムラねえさんはアメとムチを使い分けているようですが、アメとムチを受けとるリトルミィには全く響いていなかったようです。
キャラクターとしてのミムラねえさんは可愛らしい感じで描かれていますが、しつけをしなければならない妹に対してはなかなかの鬼っぷりを発揮してますね。
私達もうまく「アメとムチ」を使っているつもりでも、子供には通用していないかもしれません。。
ホムサの心の闇は深い?
ホムサがいいました。
「ぼく、ほんとうに、うそなんかついてないよ」
「おまえ、へびが弟を食べちゃったって、いったろう? ぼうやは、だれにも、食べられてなんかいないじゃないか」
と、お父さんがいってきかせると、ホムサがいいました。
「へえ、そりゃあ、よかったじゃない!? 父さんたち、うれしかないの? ぼくは、じっさい、ほっとしたよ」
ウソばっかりついてオオカミ少年となっているホムサ。
お父さんがホムサに諭しても、ホムサには全く効かないばかりか、逆に諭されている様子が表れています。
こんなこと子供に言われたら、相当頭にきますね!
ミムラねえさんのリアリストぶりが凄い
「これって、この世の終わりなの?」
ちびのミイが、好奇心のかたまりみたいになってきくと、ミムラねえさんが、ぴしゃりといいました。
「そんな、あまっちょろいもんじゃないわよ。あんたは、もうておくれかもしれないけど、急いでいい子になることね。もうすぐ、みんなそろって天国へ行くのよ」
ネガティブポジティブを超越し、ミムラねいさんは超リアリストだと感じるシーンです。
ミムラねえさんのような姉がいたら頼もしいですが、ちょっと煙たい存在かもしれません。。
ホムサの洞察力がするどい
ホムサは、家をでることにきめました。
父さんと母さんに思い知らせるためなんかじゃなく、なんだか、疲れてしまったのです。
ふたりにも、それに、ふたりが重要事項と危機について、なにもわかっちゃいないことにも、疲れはててしまいました。
あのふたりは、なんでも一本の線でわけてしまいます。
片方には、信用できて使えるもの、もう一方には、うさんくさくてくだらないもの、というふうに。
ホムサが両親のことを見限ってしまった理由として、「判断の軸がひとつしかないこと」を挙げています。
物事を単純で分かりやすい自分たちの判断軸1つだけで決めてしまい、大きな可能性を見ることなく切り捨ててばかりと嘆いていたのですね。
私も含め、多くの大人が時間がないことを理由に同じような対応を子どもたちにしているかもしれません。